シュヴァル・ブランは間違いなく、ボルドーで最も深遠なワインである。
今世紀のほとんどにおいて、サン=テミリオンの格付けの中で単独でトップの地位を占め、このアペラシオン最高のワインを生み出してきた。
ボルドーの「8大ワイン」のひとつであるシュヴァル・ブランは、おそらく、飲み頃の幅が最も広いワインであろう。
通常、このワインは最初に瓶詰めされた時点でおいしいのだが、最高に出来のよい年のワインの場合、長期にわたって質を保つことのできる能力を備えている。
メドックの第一級シャトーのワインも、ポムロルのペトリュスも、これほどの柔軟性を備えてはいない。
シュヴァル・ブランの絶大なる人気に貢献しているのは、このシャトーで生み出されるワインのスタイルにあると言える。
暗いルビー色で、優良なヴィンテージならば、ふくよかで豊かで、果実味に富んだワインとなる。
フルボディで、官能的で、みずみずしく、また人を惑わすほどに若い時点で飲みやすい。
そのブーケはとりわけ特徴的である。
最高のシュヴァル・ブランは、マルゴーなどのメドックの第一級シャトーのワインよりも香りが華やかだ。
シュヴァル・ブランはオー=ブリオンとともに、ボルドーの「8大ワイン」の中では最も価格の低いワインである。
講談社刊 ロバート・M・パーカー Jr.著 ボルドー第3版より引用